幻だとしたら
並行世界を夢想するなんて愚かだと思ってた、そんな立冬
冷たい太陽がぼくを照らし
チャーリーブラウンの弱音だけが友だちだった
平熱が嘘みたいな温度で
それはきっと心の問題なんだろう
やせ細った二の腕が孤独を知らせる
ああ ビルの連なりが夕焼け色に染まっていく
暖かい太陽が彼らの一日をねぎらうように
これが幻だとしたら、それはそれで哀しいね
ろ過された子どもたちは何処へ行くのだろう、とか何とか
ネオンサインが街を彩り
戯言を重ねるぼくだけが宙に浮かんでいた
笑い声が閃光弾みたく眩しくて
それはきっと心の問題なんだろう
微熱を帯びた瞼が愛情を語る
ああ 光の瞬きが空の暗がりに融け込んでいく
ぼくも彼らの一部だという事実を告げるように
これが幻だとしたら、それはそれで哀しいね
これが本当だとしても、それは変わらぬ哀しいパノラマ